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コブラ装甲車





コブラ装甲車はアクレプ装甲車やAPC装甲車と同様に、イスタンブールに本社を構えるオトカー・オトブス・カローセリ・サナイ社が開発した4×4型の装輪式装甲車である。
特筆すべきは本車は軍の要求ではなく、オトカー社がプライヴェート・ヴェンチャーとして開発したことである。
アクレプ装甲車やAPC装甲車に比べて車体規模が拡大しており、シャシーも全く別のものになっている完全に新規の車両である。

コブラ装甲車の試作車は1995年遅くに完成し、その後1997年までに試作車と先行生産型合わせて8両が製作された。
これには2つのヴァージョンがあり、兵員輸送型のコブラ装甲車と偵察型のアセルサン装甲車が作られた。
試作車を用いた試験の結果コブラ装甲車はトルコ軍に採用され、1997年遅くに最初の生産型が完成し、現在までに原型および3種の派生型が使用されている。

コブラ装甲車はトルコ国産とはいうものの、まだ完全な国産化は不可能なため、アクレプ装甲車やAPC装甲車と同様に既存のシャシーが流用されている。
しかしアクレプ装甲車やAPC装甲車に使用されたランドローヴァーに代わり、コブラ装甲車ではアメリカのAMジェネラル社製の汎用高機動車両HMMWVのシャシーが使用されている。

コブラ装甲車に使用されたのはHMMWVの最新シャシーであるECV(Expanded Capacity Vehicle)で、このECVシャシーにトルコ製の装甲ボディが合体されている。
エンジンは、アメリカのジェネラル・モータース社製の強力なV型8気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル・エンジン(排気量6.5リットル、出力190hp)を搭載しており、定評あるドイツのZF社製の4速自動変速機と組み合わされている。

コブラ装甲車の戦闘重量が6.3tなので、出力/重量比は30.16hp/tに達する。
これにより路上最大速度115km/h、0〜60km/hの加速に要する時間は13秒という高い機動性能を発揮できる。
サスペンションはコイル・スプリングを用いたダブル・ウィッシュボーンの独立懸架で、横剛性の高い堅実な構造である。

コブラ装甲車の装甲ボディは圧延防弾鋼板の全溶接モノコック構造だが、同じ構造を持つアクレプ装甲車やAPC装甲車の装甲ボディよりはるかに洗練されていて、全面が流麗な傾斜面で構成されており避弾経始に優れている。
また車体下部はV字型になっており、車体下で爆発した地雷の爆風を左右に逃がすように考慮されている。

装甲防御力は全周に渡って7.62mm徹甲弾の直撃に耐える程度となっているが、必要な場合防御力強化用の増加装甲をボルト止めすることができる。
車内レイアウトは最前部にパワーパックが収められており、その後方が操縦室で左側に操縦手、右側に車長が位置する。
操縦室の前面と左右側面のウィンドウには、防弾ガラスが装備されている。

その後方中央には、機関銃塔を操作する武装操作員が位置する。
車体後部は兵員室となっており、10名の完全武装兵員を収容することができる。
乗降口は車体左右側面と車体後面に大型のドアがあり、兵員室上部の左右にもハッチが設けられている。
なお車体左右側面の一枚ドアは、2分割のハッチにも変更可能である。

武装は、上部の全周旋回式機関銃塔に装備される。
基本武装は7.62mm機関銃1基だけだが、12.7mm重機関銃や40mm自動擲弾発射機も装備可能である。
武装マウントはスプリング・アシスト式で、火器の軽快な取り回しが可能となっている。
照準用には、昼/夜間用のシステムが用意されている。
また機関銃塔の左右側面には、オプションで各3基の発煙弾発射機が装備される。

この他、車体左右側面に各2基ずつと車体後面ドアに1基ガンポートが設けられており、車外を射撃できるようになっている。
コブラ装甲車にはこの種の車両の通例として、多数の派生型が用意されている。
面白いのが水陸両用ヴァージョンで、車体後部に2基のウォーター・ジェット・スラスターが装備され、エンジンに水中冷却システムが追加されている。

その他には指揮通信機材を搭載した指揮通信車、4基の担架ないし6名の患者を収容できるように改修された野戦救急車、TOW対戦車ミサイルの発射機を装備した対戦車車両などが実用化ないし構想されている。
コブラ装甲車の本格的な派生型が、偵察型のアセルサン装甲車である。
本車は、コブラ装甲車の装甲ボディを流用して車体後部に伸縮式マストを装備し、そこに各種昼/夜間偵察・監視機材を搭載している本格的な偵察車両である。

機材は地上監視レーダー、赤外線映像装置、TV装置などで、これらがコンピューター、各種通信装置と統合された偵察システムとなった高度なものである。
アセルサン装甲車の基本武装は7.62mm機関銃だけだが、威力偵察も可能な武装偵察型として外部マウント式の25mm機関砲と赤外線映像装置を装備したヴァージョンもラインナップされている。


<コブラ装甲車>

全長:    5.00m
全幅:    2.22m
全高:    2.10m
全備重量: 6.3t
乗員:    2名
兵員:    9名
エンジン:  GM 4ストロークV型8気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル
最大出力: 190hp/3,400rpm
最大速度: 115km/h
航続距離: 500km
武装:    7.62mm機関銃FN-MAG×1
装甲厚:


<参考文献>

・「パンツァー2013年11月号 1960〜2000年代のトルコ軍AFV」 城島健二 著  アルゴノート社
・「パンツァー2014年3月号 トルコが開発・改修を進めるAFV」 柘植優介 著  アルゴノート社
・「パンツァー2001年1月号 トルコの小型装甲車コブラ」 二木巌 著  アルゴノート社
・「パンツァー2003年1月号 サトリ2002に出品された各国の野戦車」  アルゴノート社
・「パンツァー2012年10月号 カザフスタン武器見本市の参加車輌」  アルゴノート社
・「パンツァー2007年5月号 トピック トルコの新装甲車コブラ」  アルゴノート社
・「パンツァー2000年10月号 SATORYに展示された野戦車」  アルゴノート社
・「パンツァー2012年12月号 今月のトピックス」  アルゴノート社
・「パンツァー2016年6月号 今月のトピックス」  アルゴノート社
・「世界のAFV 2025-2026」 荒木雅也/井坂重蔵 共著  アルゴノート社
・「グランドパワー2004年9月号 EUROSATORY 2004」  ガリレオ出版
・「新・世界の装輪装甲車カタログ」  三修社
・「世界の装輪装甲車カタログ」  三修社
・「世界の軍用4WDカタログ」  三修社
・「世界の軍用4WD図鑑PART2」  スコラ


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