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開発 1950年代にイタリア陸軍の機甲戦力の中核を担っていたのは、アメリカから供与されたM47パットン中戦車であったが、1960年代に入るとそれを更新する車両のリサーチが開始された。 そして1964年に、アメリカ製のM60スーパー・パットン戦車300両を導入することを決定し、さらに1970年には、西ドイツからレオパルト戦車800両を導入することになった。 イタリア陸軍が導入したM60/レオパルト戦車は、その約2/3以上がイタリア国内でライセンス生産されたが、このことが同国のAFV製造技術を急速に発展させる基となった。 イタリア政府は1980年代に入って、旧式化したM60/レオパルト戦車の後継として西ドイツからレオパルト2戦車を導入することを計画したが、各種AFVの開発・生産に自信を深めた国内軍需産業界はこれに反発し、MBTを含むイタリア陸軍の新型AFVの国内開発を求めて政府に圧力を掛けた。 このため、イタリア政府は1984年初めにレオパルト2導入計画を白紙撤回し、その春には陸軍向けAFVの国内自主開発・生産の方針を決定した。 これを受けたイタリア陸軍は、早くも同年中に自軍が保有すべきAFVの種別と、それらが持つべき性能を明らかにすると共に、使用する機構や部品をなるべく共通化するという構想を示した。 それらはMBT(主力戦車)、戦車駆逐車、IFV(歩兵戦闘車)、多目的軽装甲車の4車種から成り、後にそれぞれMBTはC1アリエテ、IFVはVCC-80ダルド、多目的軽装甲車はプーマとして具現化することになる。 戦車駆逐車については、主武装を当時の西側各国のMBTと同じ105mmライフル砲とし、FCS(射撃統制装置)も同時期に開発されるMBTと可能な限り共通化すること、そして走行系統を装輪式とすることで、路上での高速機動と航続距離の増大を可能にすると共に、路外における高い不整地踏破性をも確保するものとされた。 これが後にB1チェンタウロとなるのであるが、このような諸条件が設定された背景には、南北に細長く長大な海岸線を有する半島国家という、イタリアの地理的状況が深く関係していた。 このような国土全体を効率的に防衛するために、MBTを装備する部隊を北部に、機動力に勝る部隊を南部にそれぞれ配置して、有事の際にはまず南部のそれを「即応部隊」として展開するという、イタリア陸軍独自の構想があった。 1991〜96年にかけてイタリア陸軍向けに400両生産されたB1チェンタウロは、西側第2世代MBTの標準武装となった、イギリスの王立造兵廠製の51口径105mmライフル砲L7と遜色ない威力を持つ、52口径105mm低反動ライフル砲を装備する大型の3名用砲塔と、MBT並みのサイズを持つ8×8型装輪式の車体を組み合わせた、世界初の本格的な装輪戦車というべき車両であった。 MBTに比べて調達・運用コストが安く、路上での機動力が高い装輪戦車は現在、世界中の軍隊に流行しつつあり、日本の16式機動戦闘車、アメリカのストライカーMGS、中国の11式105mm装輪突撃砲など多種多様なものが開発されている。 こうした装輪戦車ブームの火付け役となった存在の1つとして、B1チェンタウロは世界の兵器史に残る重要な車両といえる。 |
<フレッチア歩兵戦闘車> 全長: 8.56m 全幅: 2.99m 全高: 3.18m 全備重量: 28.0t 乗員: 3名 兵員: 8名 エンジン: イヴェコ 8262 4ストロークV型6気筒液冷ターボチャージド・ディーゼル 最大出力: 550hp 最大速度: 110km/h 航続距離: 800km 武装: 80口径25mm機関砲KBA-B02×1 (200発) 7.62mm機関銃MG42/59×1 (600発) 装甲厚: |
<参考文献> ・「パンツァー2014年1月号 フレッチア戦闘兵車 チェンタウロから放たれた矢じり」 柘植優介 著 アルゴノート 社 ・「パンツァー2022年10月号 陸自の装輪車輌について」 岩本三太郎 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2008年5月号 チェンタウロ戦闘偵察車」 佐藤慎ノ亮 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2015年5月号 世界の現用装輪装甲車輌」 平田辰 著 アルゴノート社 ・「パンツァー2012年1月号 イタリアのフレッチアICVシリーズ」 アルゴノート社 ・「パンツァー2001年4月号 新装備トピックス」 アルゴノート社 ・「パンツァー2006年4月号 今月のトピックス」 アルゴノート社 ・「パンツァー2025年3月号 軍事ニュース」 荒木雅也 著 アルゴノート社 ・「世界のAFV 2025-2026」 荒木雅也/井坂重蔵 共著 アルゴノート社 ・「戦闘車輌大百科」 アルゴノート社 ・「グランドパワー2006年10月号 ユーロサトリ2006 (2)」 伊吹竜太郎 著 ガリレオ出版 ・「決定版 世界の最強兵器FILE」 おちあい熊一 著 学研 ・「世界の戦車パーフェクトBOOK 決定版」 コスミック出版 ・「世界の最新装輪装甲車カタログ」 三修社 ・「世界の装輪装甲車カタログ」 三修社 |